【コラム006】中小旅行業者の生き残り策③

とある中小旅行会社の主催する募集ツアーはなんと「催行率110%」。
ツアーキャンセルがゼロ。100%でなく110%なのは、人気コースは増便するためだ。

商圏人口は6万人程度の比較的田舎で何をしているのか?

 

手法を明かす前に、彼らの基本的な方針を理解せねばならない。

 


①価格だけをみるお客は要らない

②お客の求めているものは「心」と「居場所」

③他社(大手メディアエージェント)と戦わない

 

具体的な手法は


①チラシは基本的に「手書き」構成

②チラシより大事な「ニュースレター」でお客と旅行業者の心の距離を縮める

③ニュースレターの中にも(随分先の)ツアー予定情報を撒いておく

 

▼左側が「募集チラシ(昔は100%手書きだった)」。右側が「ニュースレター」。※東南観光社(浅野社長様)の許可を頂いて掲載しています。

 

「お客様と旅行業者」というよりも「個人と個人」という関係性を構築する。こうして少しずつファンを積み上げているのだ。

ここには書ききれない様々な趣向を凝らしているが、この旅行業者の顧客は、「どこへ行くか?」「何をするか?」よりも、「誰と行くか?」を主軸に考えているのだ。

コロナ初期に(お客から進言があり)、「未来旅行券」のような、「今は行けないけど、いつか行く」ためのチケットを販売したらしい。その結果、600万円が集まった。中には50万円の札束をドンと持ってきた人もいた。これもひとえに、お客との良い関係性があるからこその事例だ。

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