フロントとして想うこと 36

エージェントが奪うもの、与えるもの

ある無名な温泉地2箇所の旅館を視察してきました。
どちらも収容350~500名、大宴会場も備えたいわゆる団体旅館です。
結論から言えば、どちらの宿もエージェント経由で送客するとクレーム必至という印象でした。

一つ目の旅館は、以前はエージェント経由のお客が5割以上でしたがオーナーの方針で個人客狙いに方針を変え、地元へのTVCMも開始。
その宣伝費が多大に嵩み、R分をカットするためエージェントとの縁をバッサリ切りました。
個人のファミリー層向けに大型屋外プール等も作りましたが、個人客で満館になるのは夏休みやGW、お盆、年末年始のみ。
それ以外はTOPシーズンの休前日でさえ空室が目立つようになり、最終的には民事再生法適用で一つの館を閉鎖することになったそうです。

今になってエージェントからの送客を熱望していますが、館内はボロボロで営繕費や社内へ投資する資金体力もない様子でした。

二つ目の旅館は三棟あり、一番新しい棟の客室以外はクレーム必至な施設でした。
パブリックは悪くないのでその棟を使えば問題ないのですが、何と平日団体料金が一泊二食@一万七千別!
こちらの感覚では@一万前後でしたが…
この料金感覚のズレを埋めることは到底不可能に感じました。
Rや付き合い等、様々な理由でエージェントとの縁が切れたようで、今はインターネットの個人客がほとんどとのこと。400名収容なので、個人客だけで全室埋まることはまずないでしょう。

どちらの宿も時代錯誤な印象を受けました。
直客は旅慣れしておらず、クレームを言うことも少ないですが、逆に何も言わず二度と来なくなります。
エージェントは口うるさい、また支払うRが勿体無い、等マイナス要因もありますが、付き合いを続ける事で様々なバランスを保つことが出来るのも事実です。
収容が小さくオーナー自身が余程のバランス感覚と情報アンテナを積極的に張り巡らせれば、エージェントは必要ないかもしれませんが…

エージェントの力が必要な一面を垣間見た気がしました。

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(2013年9月発行 Itohかわら版より抜粋 文/伊藤部長)